人工芝はサッカー・野球のスパイクで劣化する?
最近では大きなスタジアムや競技場だけでなく、子どもたちが試合が出来るような小さめなグラウンドなどでも人工芝を使用しているところが増えてきました。
それに伴って、家で子供がサッカーや野球の練習が出来るように、庭に人工芝を敷きたいと考えている方もいるかもしれません。
そこで気になるのが「スパイクで人工芝の上を走ったりしても大丈夫なの?人工芝が早く劣化しない?」という点です。
天然芝もそうですが、人工芝もコストがかかるものではありますし、敷いたあとすぐにボロボロに傷んでしまってはもったいない気持ちになってしまいますよね。
今回は、人工芝とスパイクの関係についてご紹介したいと思います。
人工芝には「家庭用」と「競技用」の2つがある!
まず最初に、人工芝は大きく2つの種類にわかれています。
どうわかれているかと言いますと「家庭用」と「競技用」の2種類です。
どちらも名称で意味が簡単にわかるものではありますが、家庭用は「景観用」とも言い、競技のために敷かれる競技用の人工芝よりもパイル(芝葉部分)が短めになっており、大体10mm未満のものから45mmくらいまでが主流です。
短いものは庭でパターゴルフを行う際に敷かれることが多く、芝生で子どもたちが遊ぶような庭にしたいと思うのであれば、30mmから45mmのものを選ぶのがいいとされていますね。
対して競技用はサッカーやフットサル、野球など様々なスポーツに対応した人工芝です。
競技内容や商品によっても違いますが、大体50mm~65mm程度の長さで、家庭用の人工芝に比べてパイル部分が長くなっています。
2つの人工芝は、実は構造から違っている
また、違いはパイル部分の長さだけではありません。
家庭用の人工芝と競技用の人工芝は、実は構造から違っているんです。
競技用の人工芝は、クッション性が求められます。なぜクッション性が必要なのかと言いますと、天然芝のグラウンドの場合、下は当然ですが土ですよね。
土は衝撃を吸収し、走るときにクッションの役割をしてくれます。人工芝は当然ですが人工物ですので、すぐ下は土ではありません。
そのため、土のようにクッションの役割を持つような構造になっていることがほとんどです。
具体的に説明しますと、まず一番上は当然ながらパイル部分となります。「ヤーン(芝)」や「ターフ」と言われることもあります。
その下の層は「充填剤」です。これはクッション性を出すためのゴムチップや砂が入っている部分です。
基本は砂とゴムチップで充填されますが、メーカーによっては人工芝の温度を下げる特殊なチップや、水はけのよい素材を使ったものなどがオプションで選べることもあります。
その下が「基布」です。この部分に人工芝が縫い付けてあります。
競技用の人工芝はこの3つの層からなっており、これを地面の上に敷く形となります。
家庭用の人工芝のクッション性は競技用より低め
対して家庭用の人工芝は、競技用と基本は変わらないのですが「充填剤」は入っていません。これはパイルが競技用に比べて短いことと、激しい運動をすることを想定していないため、クッション性がそこまで必要ないということからです。
充填剤がなければカチカチなの?と疑問に思われるかもしれませんが、しっかりした人工芝を購入すれば、パイル部分がふかふかになっていますので、裸足で踏んでも痛みを感じることはありません。
ただ、普段競技用の人工芝の上でスパイクを履き練習していて、家に帰ってきて庭で同じように走ったりした場合、家庭用の人工芝を敷いているのであれば「グラウンドの方が走りやすいな」「家の方が足が疲れるのが早いかも」と感じることはあるかもしれません。
競技用の人工芝は摩耗に強い作りをしている
加えて、競技用の人工芝のパイル(ヤーン・ターフ)部分は摩耗に強い作りになっています。
スポーツ、特にサッカーなどは選手同士が激しくぶつかることもありますし、走り回るので芝部分がどうしても摩耗しやすいのですが、摩耗を防ぎ耐用年数を長くするために、各社が工夫をしています。
競技用の人工芝における認定基準のひとつとして「FIFA認定基準」があります。
おなじみのサッカー組織ですが、FIFAが定めた人工芝における「耐久性」「耐退色性」「耐摩耗性」についての基準をクリアしている商品も日本にはあります。
スパイクで思い切り走っても、競技用なら大丈夫!
ここで最初の疑問に立ち返ってみましょう。「人工芝の上をスパイクで走っても大丈夫?」…というものですが、結論として「競技用の人工芝であれば問題なく走ってOK!」となります。
それを前提に作られていますので、望むところ…と言ったらおかしいかもしれませんが、気にすることなく走り回ってOKです。
劣化についても、人工物なので必ず劣化はしてしまいますが、競技用であれば劣化がより早まってしまうということは特別考えなくてもいいでしょう。
家庭用の人工芝だと、スパイクで走るのはイマイチ?
となると、家庭用の場合はあまり向いていないのかな?と思われるかもしれません。
メーカーによっては競技用と同じ人工芝パイルの作りをしているところもありますので、明らかに家庭用だとスパイクは向いていない、ということはないでしょう。
ただし先程も少し触れましたが、クッション性は競技用の人工芝に比べると高いものではありません。
そのため、大人がスパイクを履いて家庭用の人工芝の上を走り回る…となると、足が疲れやすいなど競技用の人工芝に比べて「差」を感じる可能性もないとは言えません。
また、激しい運動をするとなれば普通の使い方(景観目的として楽しむ)に比べると早く人工芝が劣化する可能性もあるでしょう。
人工芝の価格にもよりますが、しっかりした作りの価格もそれなりのものであれば、耐用年数は大体10年間くらいだと言われています。
ただ、お手入れを一切していなかったり、人工芝を敷いている土台(土かアスファルトなど)、天候などによっても変わりますので、絶対に10年間持つとは言えません。
競技用の人工芝はお庭には敷けない?
スパイクで走り回る前提であれば、最初から競技用の人工芝を庭に敷こうと考える方もいるかもしれません。
しかし、競技用の人工芝を施工する場合かなりのコストがかかります。
競技用に使用するロングパイルはショートパイルに比べてパイルの量が多く、充填剤を敷き詰める費用もかかってきます。また、ロングパイルの人工芝を施工する場合、下地をアスファルトにする必要があるため大掛かりな工事が必要となり、高額な費用が必要となります。
施工期間も長くなるため、人件費等も大幅にかかってくると考えるとロングパイルはあくまでプロスポーツ用の人工芝ですね。
スパイクによる人工芝の劣化を軽減するには!
人工芝の上をスパイクで走ることによって、劣化が早まる…というのは、その人工芝が競技用なのか、それとも家庭用なのかで変わってくる部分だと言えます。
競技用であれば劣化が早まることは特別考えなくてもいいかと思いますが、家庭用の場合は、かなり影響が出てくる可能性はあります。
家庭用の人工芝の上でスパイクを使用して、スポーツをするとかなりの影響があるため、おすすめしている人工芝メーカーは少ないかもしれません。しかし、少しでも耐久性を高める方法もあるようです。競技用人工芝の施工方法と同じように珪砂やゴムチップをまくことで耐久性が優れたり、スポーツもしやすくなるようです。
ただスパイクで走る頻度であったり、走る人の年齢、人工芝が敷いてある環境などなどで、一概に「スパイクで人工芝の上を走ると○年劣化が早くなる」と言えるものではありません。
人工芝のメーカーによって提案内容が違うので、相談してみるといいですね。
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